再び蘇るウルザデッキ:ウルザズキッチン

モダンホライゾンにて、待望のカード化が成された《最高工匠卿、ウルザ》。カード・アドバンテージ面、戦場への影響力の両面共に強力な能力を備える彼を核としたデッキは、度重なる弱体化を喰らいながらも、その度に姿を変え、環境に残り続けています。

モダンホライゾン2からの新カードの中にも、彼と相性の良いカードが複数収録され、今もなお、メタゲームの一部に君臨しています。今回は、最新のウルザデッキについて、ご紹介していきます。

概要及び、標準的なデッキリスト

Kawazoe Masaki – ディミーア・ウルザズキッチン
第11回『九州将軍戦モダン』(Top8
– メインボード(60)-
– 土地(22)-
4《闇滑りの岸
2《溢れかえる岸辺
3《
4《汚染された三角州
1《沸騰する小湖
1《蒸気孔
1《
4《ウルザの物語
2《湿った墓
– クリーチャー(21)-
4《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール
3《湖に潜む者、エムリー
4《楕円競走の無謀者
4《通りの悪霊
3《思考の監視者
3《最高工匠卿、ウルザ
– スペル(17)-
1《骨の破片
2《致命的な一押し
2《金属の叱責
1《上天の呪文爆弾(Aether Spellbomb)》
4《ミシュラのガラクタ
1《真髄の針
1《影槍
1《バネ葉の太鼓
4《地獄料理書
– サイドボード(15)-
2《致命的な一押し
2《削剥
3《霊気の疾風
2《夢を引き裂く者、アショク
1《仕組まれた爆薬
1《虚無の呪文爆弾
1《黄鉄の呪文爆弾
1《ボーラスの工作員、テゼレット
2《思考囲い

アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》の3種によるフードパッケージを搭載した、ディミーア(青黒)タッチ赤で纏められたウルザズキッチンのお手本のようなリストです。《地獄料理書》と《楕円競走の無謀者》を組み合わせる事による、半無限「食物」機関は、ライフとボードの双方に多大な影響を与えます。量産される「食物」=アーティファクトは、《ウルザの物語》《最高工匠卿、ウルザ》から生成される「構築物」トークンを巨大化させると共に、《最高工匠卿、ウルザ》によって《Mox Sapphire》としての運用も可能となり、ゲーム中様々な方法で活用されます。

なお、デッキ名のウルザズキッチンは、《最高工匠卿、ウルザ》《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》《地獄料理書》の3枚を由来としています。近頃では珍しい、退屈でないデッキ名にも魅力を感じてしまうのは私だけでしょうか。

様々なカラーリングで組まれるウルザズキッチンですが、共通の特徴として驚異的なマナカーブ1マナカーブ:デッキ内の呪文をマナ総量順に並べ、それぞれに含まれるカードの枚数をグラフにしたときに描かれるカーブのこと。使えるマナの量と呪文のマナコストのバランスはデッキ構築において重要な要素であり、マナカーブはその目安となる。の低さが挙げられます。一部のカードを除き、殆どのカードが1マナ以下で唱えられる(或いは利用出来る)もので固められており、行動回数を多く取る事でテンポ面で有利に立ちやすいです。

上記のデッキリストでも挙げたようなディミーア(青黒)(タッチ2タッチ○○:デッキを構成するカラーリングの内、(サイドボードのみ等)極少数のみ採用される色を指す表現。フェッチランドとショックランドによって色の供給が容易なモダンにおいて、しばしば利用されるデッキ構築方法の1つ。1色程度)のリストは、最も一般的なカラーリングで、《通りの悪霊》と《楕円競走の無謀者》を必要に応じて唱えられる点が魅力的です。

採用されている各カードについて

《湖に潜む者、エムリー》

自身がコントロールするアーティファクトの数により、最高青1マナのみで唱えられるシステム・クリーチャー3システム・クリーチャー:戦闘に参加させるよりも、その能力を目的に使われるクリーチャーの事を指す俗称。。墓地にあるアーティファクトを再利用する事で、アドバンテージを稼ぐ事が可能であり、主に《ミシュラのガラクタ》の複数回利用でハンド及び情報のアドバンテージを獲得していきます。

覚えておくべき点としては、これは代替コストを与えている訳ではない為、《思考の監視者》の親和が機能する=最高青1マナで唱えられます。

《楕円競走の無謀者》

地獄料理書》と組み合わせる事で、ほぼノーコストでの「食物」トークン生成を達成する。純粋に4マナ4/2のクリーチャーとしての運用ももちろん可能なので、状況に応じて唱える選択肢も頭の片隅に入れておきたいところ。

《骨の破片》

モダンホライゾン2で収録された優秀な1マナ除去。追加コストのディスカードは一見デメリットではあるが、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》のキャスト条件達成に貢献する。先の《楕円競走の無謀者》や《湖に潜む者、エムリー》との組み合わせで、実質ノーコストになり得る点も覚えておきたいですね。

《闇滑りの岸》

青黒のファストランド4ファストランド:ミラディンの傷跡とカラデシュで登場した2色土地のサイクル。そのコントローラーがコントロールしている他の土地が2つ以下ならアンタップイン、そうでない場合はタップインになる土地の俗称。。フェッチランド・ショックランドによるライフ損失の大きなモダン環境において、ライフへの影響無く、序盤に色マナを安定供給出来る優秀な土地サイクルの青黒版。デッキがほぼ青黒2色で纏まっており、且つ《ウルザの物語》が自壊する事で、土地総数が少なくなりがちなこのデッキでは、アンタップイン出来る確率が高いです。

ファストランドは、ディミーア型だけでなく他のカラーリングにおいても、概ね採用されています。

《バネ葉の太鼓》

ウルザの物語》のサーチ対象。1枚目の《ウルザの物語》の3章能力でサーチされる事が多いカードです。《ウルザの物語》による土地の損失を、ある程度カバーしてくれる縁の下の力持ち的存在。《ウルザの物語》は2ターン目に設置する場合が多く、「3ターン目に2章突入、追加のセットランドからトークンの生成」→「4ターン目に3章突入、能力に対応してトークン生成、《バネ葉の太鼓》をサーチし召喚酔いしているトークンと組み合わせてマナ捻出」という動きが基本となります。

《影槍》

ウルザの物語》のサーチ対象。トランプル付与で、大きく成長した「構築物」トークンの攻撃を、相手のライフへ届くように出来る。地味ながら、起動型能力により呪禁と破壊不能を失わせる事で、《聖トラフトの霊》や《カルドラの完成体》に対抗する事が可能となります。インクの染み5インクの染み:カードテキストの内、凡そゲームに影響を及ぼさないもの。或いは、及ぼさないと思われていたもの。本来の意味で用いられる事は稀。のように思われがちな能力ですが、環境には《石鍛冶の神秘家》と《カルドラの完成体》を内蔵したデッキも一定数存在する為、忘れずにいたい能力です。

その他、《ウルザの物語》のサーチ対象候補

《探検の地図》

土地をサーチ出来るアーティファクト。不足している色マナを供給出来る土地を探す他、追加の《ウルザの物語》をサーチする事で、更にトークン戦略を押し込む事が可能となります。よりアグレッシヴに動きたい場合の選択肢として、一考の余地はあります。

《魂標ランタン》

汎用的な墓地対策カード。ETB能力でまず1枚追放出来る為、《死の飢えのタイタン、クロクサ》等に対処出来る上、以降はいつでも相手の墓地に干渉出来るようになります。キャントリップとして起動する事も可能な為、一切腐らないのも魅力的な1枚です。

《呪詛の寄生虫》

パーマネント上のカウンターを取り除く事が可能な、珍しい能力を持ったクリーチャー。プレインズウォーカーへの牽制が一般的な使用方法ですが、このデッキでは《ウルザの物語》のカウンターを減らす事で、自壊を防ぎ、トークン生成をし続ける動きも取れます。

また、環境に増えている《虚空の杯》に触れる事も可能です。X=1で設置されていても、《ウルザの物語》経由なら問題ありません。ただし、1から0にすると、今度は《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》が出せなくなってしまいますが…。少々たらればが過ぎる事は否めませんが、《ウルザの物語》デッキを扱う以上は、覚えておきたいカードの1枚です。

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その他のカラーバリエーション

ディミーア(タッチ赤)以外でのカラーバリエーションについて、代表的なもの3点を以下の通りご紹介します。

イゼットカラー

Do0mSwitch – イゼット・ウルザズキッチン
Magic Online – Modern League – 2021/07/06(5-0)
– メインボード(60)-
– 土地(20)-
1《溢れかえる岸辺
2《
1《霧深い雨林
1《
4《沸騰する小湖
4《尖塔断の運河
3《蒸気孔
4《ウルザの物語
– クリーチャー(21)-
4《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール
3《湖に潜む者、エムリー
3《楕円競走の無謀者
3《敏捷なこそ泥、ラガバン
2《通りの悪霊
3《思考の監視者
3《最高工匠卿、ウルザ
– スペル(19)-
2《稲妻の斧
3《金属の叱責
1《上天の呪文爆弾(Aether Spellbomb)》
4《ミシュラのガラクタ
2《モックス・アンバー
1《影槍
1《魂標ランタン
1《バネ葉の太鼓
4《地獄料理書
– サイドボード(15)-
1《削剥
2《霊気の疾風
1《夢を引き裂く者、アショク
2《感電破
2《ギラプールの霊気格子
2《ハーキルの召還術
1《神秘の論争
1《真髄の針
1《プリズマリの命令
1《ボーラスの工作員、テゼレット
1《トーモッドの墓所

青赤をベースとしたタイプ。非常に強力な1マナクリーチャーである《敏捷なこそ泥、ラガバン》を運用出来るのが最大の魅力です。《敏捷なこそ泥、ラガバン》の強力さは今更語るまでも無いでしょうが、彼の生み出す「宝物」はこのデッキが内包するマナ問題を解決する上、「構築物」トークンや《最高工匠卿、ウルザ》とも好相性です。《敏捷なこそ泥、ラガバン》は、後の《湖に潜む者、エムリー》や《最高工匠卿、ウルザ》を守る避雷針としても機能し、対処されなければアドバンテージを稼ぎ続ける為、最序盤に展開出来るカードとしては最上級です。レジェンダリー・クリーチャーが増加した事で、《モックス・アンバー》を採用出来るのも、ゲームの展開を有利にし得る要素です。

除去の面では、ディミーアでの《骨の破片》に代わるカードとして《稲妻の斧》が採用されています。対応できる範囲は狭まっていますが、インスタント・タイミングで動ける強みもあります。また、サイドボードに用意された《プリズマリの命令》はフレキシブルな1枚です。サイド後は対処したい相手のアーティファクトも多く存在しますし、ルーティングで《楕円競走の無謀者》を捨てれば、アドバンテージを稼ぐ事も可能です。

スゥルタイカラー

QGSean – スゥルタイ・ウルザズキッチン
Magic Online – Modern League – 2021/07/20(5-0)
– メインボード(60)-
– 土地(21)-
1《花盛りの湿地
2《植物の聖域
2《繁殖池
1《
1《
4《霧深い雨林
1《草むした墓
3《汚染された三角州
1《
4《ウルザの物語
1《湿った墓
– クリーチャー(22)-
4《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール
4《湖に潜む者、エムリー
4《金のガチョウ
4《楕円競走の無謀者
3《通りの悪霊
3《最高工匠卿、ウルザ
– スペル(17)-
1《骨の破片
3《破滅の終焉
2《致命的な一押し
1《上天の呪文爆弾(Aether Spellbomb)》
4《ミシュラのガラクタ
1《真髄の針
1《魂標ランタン
4《地獄料理書
– サイドボード(15)-
1《致命的な一押し
1《夢を引き裂く者、アショク
2《暗殺者の戦利品
1《引き裂かれし永劫、エムラクール
2《自然の要求
1《影槍
2《呪文貫き
1《ボーラスの工作員、テゼレット
2《思考囲い
2《パンくずの道標

スゥルタイ(黒緑青)カラーで構成されたタイプ。緑を含む「食物」デッキでは定番である《金のガチョウ》は、マナベースの安定化と「食物」の供給の双方で活躍します。《破滅の終焉》は、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を直接呼び出せる優秀なサーチカードで、このカラーリングを選ぶ大きな魅力の1つです。

緑を足す事でサイドボードにも恵まれ、サイド後に増えてくるであろう墓地・アーティファクト対策への回答も十分に用意出来ます。サイドボードの中でも《パンくずの道標》はフードデッキらしい1枚。「食物」を生け贄に捧げる度に、アドバンテージを獲得出来る可能性があり、長期戦をサポートしてくれます。

余談として《湖に潜む者、エムリー》に関して、例えば「《金のガチョウ》、「食物」1つ、土地1枚」があれば、《湖に潜む者、エムリー》をキャスト出来る点は覚えておきましょう。流れとしては、「《湖に潜む者、エムリー》のキャストを宣言=コスト(1青)の決定」→「土地と《金のガチョウ》能力起動から2マナ捻出」→「2マナ支払ってのキャスト達成」となります。

ジェスカイカラー

WillyBlake – ジェスカイ・ウルザズキッチン
Magic Online – Modern League – 2021/08/03(5-0)
– メインボード(60)-
– 土地(22)-
4《魂の洞窟
4《溢れかえる岸辺
1《神無き祭殿
2《神聖なる泉
2《
1《平地
3《汚染された三角州
4《ウルザの物語
1《湿った墓
– クリーチャー(22)-
4《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール
4《楕円競走の無謀者
4《イーオスのレインジャー長
4《通りの悪霊
3《思考の監視者
3《最高工匠卿、ウルザ
– スペル(16)-
4《虹色の終焉
2《はらわた撃ち
1《影槍
1《バネ葉の太鼓
4《発展のタリスマン
4《地獄料理書
– サイドボード(15)-
2《解呪
1《引き裂かれし永劫、エムラクール
2《狼狽の嵐
2《ハーキルの召還術
2《静寂をもたらすもの
1《虚無の呪文爆弾
1《流刑への道
1《真髄の針
1《魂標ランタン
2《時を解す者、テフェリー

ジェスカイカラーで構成されたタイプ。メインボードでは《虹色の終焉》によるボードコントロール力の高さが特徴です。《虹色の終焉》はサイド後の墓地・アーティファクト対策への回答としても有効であり、マッチ中腐る場面が殆どありません。《発展のタリスマン》は、《イーオスのレインジャー長》の白白の支払いをサポートしつつ、3ターン目の《最高工匠卿、ウルザ》展開も可能とする面白い選択です。

はらわた撃ち》は珍しいカードですが、環境を考えれば納得の1枚です。《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》《発現する浅瀬》等、即座に対処したいタフネス1のクリーチャーは環境に溢れており、デッキが多少重くなっているこのカラーリングでは有効に活用出来ます。むしろ、他のカラーリングでも採用を検討すべきカードかも知れませんね。

白も、緑を選んだ場合のようにサイドボードの選択肢に恵まれており、中でも《静寂をもたらすもの》は環境で大暴れしているエレメンタルデッキへの牽制となる注目の1枚です。また、《時を解す者、テフェリー》はカスケードクラッシュを始めとする続唱デッキや青いコントロールデッキ全般に強力なプレインズウォーカーです。

総括

フードパッケージを備え、モダン環境に再臨したウルザデッキを紹介してきました。ただし、デッキの根幹はフードパッケージと《ウルザの物語》である為、必ずしも《最高工匠卿、ウルザ》を採用する事が最適解とは限りません。モダンホライゾン2がモダンに加入してからの短期間で登場してきたデッキタイプの中では、直近では少し落ち目にあるデッキタイプとなりますが、強力な要素を多く内包するデッキである為、最適化が進めばいずれまたTier1に食い込んで来る可能性は高いでしょう。

過去のウルザデッキでは、《発明品の唸り》と《飛行機械の鋳造所》《弱者の剣》を加える事で、無限コンボを内包したものも存在していました。青をベースに、多少の黒か赤さえ足せば成立する色選択の柔軟さもあり、可能性に溢れたデッキとなりますので、今後の進化に期待がかかります。


脚注一覧

  • 1
    マナカーブ:デッキ内の呪文をマナ総量順に並べ、それぞれに含まれるカードの枚数をグラフにしたときに描かれるカーブのこと。使えるマナの量と呪文のマナコストのバランスはデッキ構築において重要な要素であり、マナカーブはその目安となる。
  • 2
    タッチ○○:デッキを構成するカラーリングの内、(サイドボードのみ等)極少数のみ採用される色を指す表現。フェッチランドとショックランドによって色の供給が容易なモダンにおいて、しばしば利用されるデッキ構築方法の1つ。
  • 3
    システム・クリーチャー:戦闘に参加させるよりも、その能力を目的に使われるクリーチャーの事を指す俗称。
  • 4
    ファストランド:ミラディンの傷跡とカラデシュで登場した2色土地のサイクル。そのコントローラーがコントロールしている他の土地が2つ以下ならアンタップイン、そうでない場合はタップインになる土地の俗称。
  • 5
    インクの染み:カードテキストの内、凡そゲームに影響を及ぼさないもの。或いは、及ぼさないと思われていたもの。本来の意味で用いられる事は稀。

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