色マナを安定させるだけじゃない:フェッチランドの扱い方

色マナを安定させるだけじゃない:フェッチランドの扱い方

モダンの多くのデッキにおいて採用されているフェッチランド1フェッチランド:《溢れかえる岸辺》をはじめとした、指定された基本土地タイプを持つ土地をサーチできる土地群のこと。

フェッチランドとショックランドなどを組み合わせることにより、2色以上のデッキではそのマナベースの安定性が大きく向上しますが、フェッチランドはただ単に土地を探し出すためだけに使われている訳ではありません。

完全/不完全フェッチランド

まずは、採用するべきフェッチランドを理解する必要があります。例として、ジャンドデッキでは、マナを出す土地には《草むした墓》《血の墓所》《踏み鳴らされる地》《》《》が採用されることが一般的です。この場合、フェッチランドとして最優先されるのは《新緑の地下墓地》です。

新緑の地下墓地》であれば、例に挙げた土地をすべて探し出すことが可能であり、このような目的の土地をすべて探し出せるフェッチランドを、俗に完全フェッチランドと呼びます。対して、不完全フェッチランドとは何かしら探し出せないフェッチランドのことです。

基本的には、完全フェッチランドを4枚積んでから、残りの枠に不完全フェッチランドを挿し込んでいくことになりますが、優先して用意したい色や、他に採用された土地次第ではその限りではありません。

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フェッチランドを散らす

フェッチランドは、特に問題がなければ複数の種類に分散して採用することが一般的です。

swff – イゼットマークタイド
Modern Challenge – #12357958(4th)
– メインボード(60)-
– 土地(18)-
2 《焦熱島嶼域
2 《溢れかえる岸辺
3 《
1 《霧深い雨林
2 《汚染された三角州
1 《沸騰する小湖
4 《尖塔断の運河
3 《蒸気孔
– クリーチャー(13)-
1 《厚かましい借り手
4 《ドラゴンの怒りの媒介者
4 《濁浪の執政
4 《敏捷なこそ泥、ラガバン
– スペル(29)-
4 《表現の反復
2 《血清の幻視
1 《大魔導師の魔除け
4 《考慮
4 《対抗呪文
1 《否定の力
3 《稲妻
1 《呪文貫き
4 《邪悪な熱気
1 《仕組まれた爆薬
4 《ミシュラのガラクタ
– サイドボード(15)-
2 《仕組まれた爆薬
1 《否定の力
1 《呪文貫き
2 《血染めの月
2 《激しい叱責
1 《狼狽の嵐
2 《精神を刻む者、ジェイス
2 《神秘の論争
1 《大祖始の遺産
1 《緻密

ここでは、イゼットマークタイドを例に挙げます。このデッキは、青マナを生み出せる土地しか採用していません。それ故に、フェッチランドについても《》を探せるものなら何でも良く、その上でほとんどのリストではフェッチランドを4種すべて散らして採用しています。

フェッチランドを散らす主な理由は、以下の2つです。

真髄の針》や《外科的摘出》などを避ける

起動型能力を封じる《真髄の針》は、フェッチランドの起動も防いでしまいます。《ウルザの物語》が環境に存在する今、《真髄の針》を見る機会も増えており、構築の段階で意識しておくべきでしょう。

特に、ジャンドサーガのようなハンデスと組み合わせられるデッキの場合には、最序盤から的確にフェッチランドを指定されることもあります。もし同じフェッチランドばかりで構築していた場合には、機能不全となってしまうでしょう。

デッキの特定を避ける、錯覚させる

2つ目の理由は、「フェッチランドからデッキが特定されることを避ける」、あるいは「別のデッキに錯覚させる」です。1ターン目に《溢れかえる岸辺》を置かれた場合、直感的に青白系のデッキを意識してしまうことでしょう。《汚染された三角州》や《霧深い雨林》についても同様です。錯覚までされずとも、《沸騰する小湖》を置くよりはイゼットマークタイドだと特定されにくくなるはずです。

デッキタイプが早期から判明すればするほど、相手のプレイは正確になっていきます。戦うデッキ次第でプレイの手順・正当性は変わってくるものであり、それを間違わせることができれば僅かながら有利にゲームを進められるでしょう。

色を追加(タッチ)する

フェッチランドから探し出せる、デッキ内に基本的には必要ないトライオームやショックランドを採用することで、少ないリスクで出せる色マナを増やすことができます。

これは、サイドボードで使用したいがメインボードでは必要のない色のカードを採用する場合や、最近では《虹色の終焉》との兼ね合いで行われます。青白コントロールのリストに《ラウグリンのトライオーム》が採用されているのは、よく見かけることでしょう。

ラウグリンのトライオーム》があれば、《虹色の終焉》で3マナまで対処できる可能性が与えられます。不要な場合にはサイクリングにも置換できるトライオームによる色のタッチは、2色以上のデッキで今後も採用され続けそうです。

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フェッチランドはいつ起動するべきか

フェッチランドを起動するタイミングについては、即座にマナが不要なのであれば、基本的には相手のエンド時に起動することが多いでしょう。

しかし、手癖のようにいつもそうしてしまっていませんか?もしそうであれば、すぐにその癖はやめるべきでしょう。理由を伴わない、考えない行動は確実にあなたを不利にします。

フェッチランドを有効に扱おう

フェッチランドは、土地を探すために生け贄に捧げる必要があります。この生け贄に捧げる、その後土地を戦場に出すという行為は、モダンにおいて多くのシナジーを生み出します。

致命的な一押し》は、一時期より数を減らしてはいますが、依然として強力な除去です。その強力さは、たった1マナで4マナまでの広い範囲を見られることにありますが、そのためにはターン中にパーマネントが戦場を離れる必要があります。この条件を、フェッチランドを起動すれば簡単に達成できます。

創造の座、オムナス》については、上陸=戦場に土地が出た回数を参照します。土地は1ターンに1枚しか置けないため、ここでもフェッチランドが活きてきます。必要がない場合にはフェッチランドを置いても起動せず、マナ生成能力や4点ダメージが必要となるタイミングまで温存しておくことで、《創造の座、オムナス》の能力を最大限に活用できるようになるのです。

フェッチランドと組み合わせよう

紛争や上陸は、その能力からフェッチランドとの組み合わせが分かりやすいものですが、これら以外でもフェッチランドと組み合わせることで強力になるカードたちがモダンには数多くあります。

代表的なものとしては、《精神を刻む者、ジェイス》や《ミシュラのガラクタ》などがあります。

精神を刻む者、ジェイス》は、0能力、通称《渦まく知識》能力による手札補充が強力ですが、フェッチランドと組み合わせることでその真価を発揮します。0能力により、不要なカードをデッキトップに戻した後にフェッチランドを起動することで、デッキトップがリセットされ、新鮮なカードが供給されるのです。

これは、《渦まく知識》がリーガルであるレガシー以下では当たり前に行われるプレイングです。一時的に多くのカードにアクセスできる《渦まく知識》ですが、デッキトップが(不要なカードで)固定されることは好ましくありませんからね。

ミシュラのガラクタ》についても、その組み合わせは重要です。特定のカードが欲しい場合に、自身を対象に《ミシュラのガラクタ》を起動し、目的のものでない場合にはフェッチランドでデッキトップを変えてしまうのです。

ミシュラのガラクタ》を採用しているデッキは、そのマナカーブ2マナカーブ:デッキ内の呪文をマナ総量順に並べ、それぞれに含まれるカードの枚数をグラフにしたときに描かれるカーブのこと。が低く抑えられているものが多く、1枚1枚のカードに求められる価値が相対的に高くなります。そのようなタイトなゲームにおいて、欲しいカードに辿り着く可能性を僅かでも上げる行為は、勝利を掴むためには小さいようで大きい要素となるでしょう。

フェッチランドを温存しよう

フェッチランドを起動せずにただ置いておくのは、上記以外の場面でも有効です。現環境でよく起こる状況としては、《火 // 氷》の「氷」によるタップを回避するというものがあります。ティムールカラー型のカスケードクラッシュには《火 // 氷(Fire // Ice)》が複数枚採用されています。

相手が先手であり、もしあなたの手札に《対抗呪文》があれば3ターン目の続唱に備えたいでしょう。しかし、ここでもし土地をタップされてしまっては、その目的は達成できません。1ゲーム目のデッキが不明な場合は仕方ありませんが、2ゲーム目以降にこのような状況を作り出してしまっては、勝てるゲームも勝てなくなってしまいます。

これらのように、フェッチランドは起動するタイミング次第でゲーム展開に影響を与えます。その影響は大きいものから小さいものまで様々ですが、小さな積み重ねを大事にしたいのなら、起動するタイミングについてはしっかり意識する必要があるでしょう。

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フェッチランドによる副次的な効果

フェッチランドを使用するということは、土地を探し出せるだけでなく、ライフを失いつつ、デッキ内に存在する土地の枚数を減らし、墓地の枚数を増やすことにも繋がります。これらの内、デッキ内の濃度を高める(あるいは薄める)行為を、俗にデッキ圧縮と呼びます。

フェッチランドによるデッキ圧縮効果は、デッキ内の土地が減る=土地以外のカードを引ける確率を上昇させるというものです。

MTGにおいて、土地ばかり引いて負けたという感想は誰しも抱いたことがあるでしょう。そんな結末を僅かでも回避できるのであれば、あらゆるデッキにフェッチランドを採用するべきでしょうか?

フェッチランドを採用するべきか?

MDBz – 赤単オボシュ
Modern League – 2021/11/26(5-0)
– メインボード(60)-
– 土地(20)-

4 《爆発域
3 《バグベアの居住地
1 《焦熱島嶼域
11 《
1 《血に染まりし城砦、真火
– クリーチャー(22)-
4 《砕骨の巨人
4 《激情
2 《僧院の速槍
4 《敏捷なこそ泥、ラガバン
4 《歴戦の紅蓮術士
4 《損魂魔道士
– スペル(18)-
4 《勝負服纏い、チャンドラ
4 《稲妻
4 《棘平原の危険
2 《黄鉄の呪文爆弾
4 《血染めの月
– サイドボード(14)-
4 《仕組まれた爆薬
3 《略奪
4 《大祖始の遺産
3 《破壊放題
– 相棒(1)-
1 《獲物貫き、オボシュ

フェッチランドは、その起動に際し1点のライフを要求してきます。たった1点、されど1点。特に単色のデッキでは、その採用について検討する必要があります。フェッチランドによるデッキ圧縮効果はほんの1~2%程度ですが、ライフは5%失います。

ライフはリソースの1つとして、最も軽視されがちなものです。ほとんどゲームに影響を及ぼさないデッキ圧縮効果に加え、墓地活用もしないのであれば、フェッチランドによるデッキ圧縮効果がライフを失うデメリットを超えることは、おおよそないでしょう。

土地を引きたい/引きたくない

デッキ圧縮の効果がほとんどないとは言っても、フェッチランドを使用しているのであれば、その圧縮効果は活用すべきでしょう。

特に、土地を引きたい場合にフェッチランドを温存し、デッキ内の土地枚数を減らさないのはよく実行されるプレイングです。しかし、これも状況次第ではあり、念願の土地は引けてもショックランドのショックイン3ショックイン:ショックランドをアンタップインさせるために必要な2点を、《ショック》に例えたことによる俗称。により、大量にライフを失ったことがゲームの敗北に繋がる可能性は大いにあります。

フェッチランドの採用の有無とも繋がってきますが、ライフも貴重なリソースです。ライフがそのゲーム中どれだけ重要であるかを理解し、もしその重要性が大きいのであれば土地が足りない場面でも、前もってショックランドをタップインさせておくプレイングも必要となります。

フェッチランドを適切に起動しよう

以上のように、フェッチランドの起動はゲームに様々な影響を及ぼします。もし相手が起動を温存しているのであれば、紛争や上陸を狙っていたり、土地が足りていない可能性などを読み取ることもできます。

近年のモダンはカードパワーの上昇に伴い、荒いプレイングでも勝ててしまうゲームも増えていますが、逆も然りです。小さなミスが瞬く間に不利な状況へと繋がってしまいます。あくまで基本は、カード1枚1枚がもたらす効能をいかに上手く活用できるか、その積み重ねがゲームを勝利へ導く根本は変わっていないのです。

もしあなたが、無意識にフェッチランドを起動していたのであれば、今一度そのタイミングについて検討してみてください。ちりも積もれば山となる。ゲーム中は小さな小さなそのプレイングの改善が、きっとあなたの勝率を高くしていってくれるはずです。

脚注一覧

  • 1
    フェッチランド:《溢れかえる岸辺》をはじめとした、指定された基本土地タイプを持つ土地をサーチできる土地群のこと。
  • 2
    マナカーブ:デッキ内の呪文をマナ総量順に並べ、それぞれに含まれるカードの枚数をグラフにしたときに描かれるカーブのこと。
  • 3
    ショックイン:ショックランドをアンタップインさせるために必要な2点を、《ショック》に例えたことによる俗称。

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