セット評価:「イニストラード:深紅の契り」

セット評価:「イニストラード:深紅の契り」

2021年11月19日に発売となる、「イニストラード:深紅の契り」。

前回の「イニストラード:真夜中の狩り」から、続投された「降霊」や「昼/夜」システムに加え、新たに「切除」「訓練」「血トークン」が登場しました。
最初のイニストラードブロックに収録された《瞬唱の魔道士》《ヴェールのリリアナ》《未練ある魂》等、パワーカードの可能性を常に感じさせられるイニストラードの系譜を組む今回のセットですが、如何なるカードが収録されているのでしょうか。

祝福されし者の声

ソウルシスターズ1ライフゲインを主軸に据えたデッキ。主に白単色で組まれる。に、新たな選択肢が登場しました。これまでに使われてきた、《アジャニの群れ仲間》と《セラの高位僧》を組み合わせたようなデザインとなっています。

セラの高位僧》と違い、ライフが30にならずとも機能してくれるのは利点ですが、一度に大量のライフを得ても+1/+1カウンターは1個しか置かれないため、そこは一長一短です。これまでに結果を残したリストでは、《砂の殉教者》によって大量にライフを獲得する構成であるため、そこに《祝福されし者の声》をそのまま入れるという訳にはいかないでしょう。

飲み込む潮

時折現れる青の全体バウンス呪文。
土地以外のパーマネントをお互いに1つ選び、それ以外を手札に戻した上で相手の手札がこちらより多い場合オマケとしてカードを1枚引くことができます。

バウンス故に直接的な脅威の排除ではなく単なる時間稼ぎではあるものの、過去の類似カードに比べるとマナコストが4と軽い割には、効果の及ぶ範囲が土地以外のパーマネントとかなり広いことが特徴です。疑似的なリセットカード兼パーマネントのETB能力の再利用といった使い方が現実的でしょうか。

最近のモダン環境では《ウルザの物語》を採用したデッキを筆頭に様々な種類のパーマネントが同時に戦場に並ぶことも珍しくありません。

そういった多角的な「面」による脅威を一時的に「点」による脅威へと圧縮した上で、対戦相手が再展開している間にお互いの盤面に残したパーマネントの質の差でそのまま勝利するというゲームプランをとれるデッキであれば、このカードは採用される可能性はあるかもしれませんね。例えば《濁浪の執政》型のブルームーンであればうまく使いこなせるのではないでしょうか。

自分の盤面の《濁浪の執政》を残しつつ《瞬唱の魔道士》を手札に戻して1ドロー!って聞くとものすごく強そうじゃないですか? ゴメンナサイ…欲張りすぎですね。

ETB能力を再利用するにしろ、こちらの残したパーマネントでそのまま勝利を目指すにしろ、使い方を色々と考えさせられる可能性に溢れた面白いカードだと思います。

洗い落とし

洗い落とすってレベルなのか?

取り消し》のおおよそ上位互換。

モダンでは続唱を使用したデッキや、表現の反復》や《舞台照らし》のような衝動的ドローの呪文、《信仰の繕い》や《記憶の氾濫》といったフラッシュバック持ちの呪文等、手札以外から唱える・唱える事を可能とする呪文はある程度存在しています。

最低限《取り消し》としての運用も可能であるため、サイドカードに留まらずメインボードでもある程度の可能性を感じますが、《対抗呪文》もモダンリーガルとなった今、打ち消し呪文の枠は既に満席です。仮に使用するのであれば、青白コントロールのような後ろ向きなデッキのメインボードになりそうですが、果たして居場所を見つけられるでしょうか。

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隠し幕 / 暴き目

ヴェンディリオン三人衆》・・・?

数少ないクリーチャータイプ「眼」を有するクリーチャーで、変身前は0/4防衛の壁、変身するとドライアイまっしぐらな3/4威迫のクリーチャーへと変貌します。

変身前は《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ゴブリンの先達》等の攻撃、《稲妻》も耐えるタフネスを有しているため、序盤の脅威を凌いでくれます。

序盤のタフネス4は非常に心強い!

また、変身すると威迫を有したアタッカーへと変貌して安定したクロックを刻める上、相手の脅威となる除去呪文や打消し呪文等を1枚選んで排除することができます。(選んでもよいなので、選ばずに手札をそのままにすることも可能です。)

ソーサリータイミングでしか起動はできませんが、序盤は壁として脅威をしのぎ、最適なタイミングで手札確認&脅威の排除が可能なこのカードは非常に強力だと感じます。

3人はどういう集まりなんだっけ?

ヴェンディリオン三人衆》の能力と類似していますが、異なる点としては以下の通りです。

  1. 選んだカードは墓地に落ちるため、再利用されてしまう
  2. 自分を対象にして手札交換することができない
  3. ソーサリータイミングでしか対応ができない

奇襲性はありませんが、見えているハンデスも脅威であることには変わりませんし、1マナと夢の巣のルールス》の相棒条件に引っかからない点もうれしいポイントですね。

「変身前はパワーが0である」「変身に3マナ必要とする」点から、前のめりなデッキよりもミッドレンジやコントロールデッキに採用されそうです。該当しそうなデッキタイプでいうと、「グリクシスルールス」「アブザンジャンク」あたりでしょうか。

余談ですが、変身起動時に《大魔導師の魔除け》でコントロールを奪われると目も当てられない状況になる為、起動する際は注意しましょう。

戦慄の遁走

素打ちすれば《コジレックの審問》の下位互換ですが、切除で唱えることによってマナ総量の制限を消し去れます。

現在のモダン環境には《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《レンと六番》をはじめとした、2マナ以下で強力な呪文が溢れていますが、捨てさせたいカードには3マナ以上のものが多いです。青白コントロールやカスケードクラッシュ、イゼット執政など、Tier1に存在しているデッキの多くがそれに該当しています。

しかし、モダンホライゾン2以降マナ効率が格段に良くなった現代のモダンにおいては、序盤に消耗戦が起きることでゲームが長引くこともしばしばあります。そういった理由から、《戦慄の遁走》の切除と軽い脅威による2行動を取れるターンが訪れる可能性は高くなります。《思考囲い》と《コジレックの審問》に割って入るだけのスペックは持ち合わせているのではないでしょうか。

錬金術師の計略

赤いタイムワープが追加されました。これまでの赤いタイムワープの特徴と同様に、ゲームに敗北するという能力もオマケについてきてしまいます。これまでモダン環境で使えたものとしては《栄光の好機》でしたが、このカードの登場により8枚体制をとることが可能になりました。

従来の使われ方として《試練に臨むギデオン》の紋章や《白金の天使》を戦場に出し、デメリットを帳消しにしつつ追加ターンでゲームを決めるというデッキが存在しました。

デッキ構築において同じ役割のカードが複数あれば、より理想とする動きを安定して取ることができます。これまでも青赤ストームが《遵法長、バラル》を、純鋼ストームが《上級建設官、スラム》を獲得することで環境で戦えるレベルに引き上げられました。

このカードの追加で赤いタイムワープデッキが頭角を表してくるかもしれませんね。

勝負服纏い、チャンドラ

これが勝負服・・・?

3マナのプレインズウォーカー(以下、PW)として登場したチャンドラ。同マナコストで《炎の侍祭、チャンドラ》がいますが、今回のチャンドラは盤面のPWへ1点飛ばすことができます。

-3スタートした「こいつ」も処せるぞ!

1つ目の+1能力はプレイヤー及びPWへダメージを与えながら赤1マナを生み出すのでテンポ面でも大きく貢献してくれて、2つ目の+1能力も赤いカードであれば疑似的に手札として利用できるので、アドバンテージ面の獲得にもつなげてくれます。

奥義は唱える際にマナコストの支払いが必要となりますが、打てばおおよそ相手を焼き殺すことが可能である強力な能力です。

気になる点としては以下の通りで、使用できるデッキも限られるのかなといった印象です。

  1. 盤面に対する処理能力が少なく、奥義を除くとクリーチャーは対処できない
  2. +1能力、奥義共に唱えられるカードは赤いカードに限られる。
  3. 1マナ増えると強力な《反逆の先導者、チャンドラ》が対抗馬として現れる

これら1~3が気にならないデッキと言えば・・・・「バーン」デッキが該当しそうですね。

「グルールムーン」も《楽園の拡散》⇒《勝負服纏い、チャンドラ》⇒《激情》といった黄金ムーブを決めることが可能ですが、「緑のカードの存在」「クリーチャーも処理が可能な《反逆の先導者、チャンドラ》の存在」「3マナ域の渋滞」といった点から、採用は難しいかもしれません。

この黄金ムーブは夢を見すぎかもしれない・・・

バーンデッキでは、メインボードは一貫性をもって相手に火力を投げつける方が強力だと考えられる為、脅威の軸をずらす点からサイドボードでの採用が考えられます。

「-3能力を起動したばかりの《時を解す者、テフェリー》を処理することができる」「デッキトップの疑似手札を連打して打消し呪文を搔い潜ることができる」ことから、青白コントロール等に対して非常に強力な能力と考えられます。

PWのため、サイドインされた《狼狽の嵐》も効かないのもうれしいポイントです。

ただし、フルタップでプレイした返しのターンは《黄昏の享楽》のライフゲインを《頭蓋割り》や《乱動する渦》で防げないといった事態も想定されるため、それらの可能性を考慮したうえで採用を検討することとなりそうです。

ご利用は計画的に・・・!

現バーンデッキでは《夢の巣のルールス》を相棒にしていることが殆どであるため、メタゲームに応じて「《夢の巣のルールス》を採用して消耗戦を有利にする」「追放除去やコントロールデッキを見据えて《勝負服纏い、チャンドラ》を採用する」といった選択肢になりそうですね。

祭典壊し

猛火の斉射》の上位互換が登場。最近のモダンでは、2点以下の全体火力呪文の採用が控え目ではありますが、もし必要となった場合には今後はこのカードを見かけることも増えるでしょう。

たった1点ではありますが、マイナスから入った《時を解す者、テフェリー》や《反逆の先導者、チャンドラ》を処理するためにも使えるため、嬉しいアップデートです。

無謀なる衝動

衝動的ドローに追加の1枚。《舞台照らし》に比べると、絢爛時と通常キャスト時のちょうど中間のマナコストとなっています。

衝動的ドローの性質上、能動的に使用できるカードとの相性が良く、現在《舞台照らし》を使用しているリストがこのカードを採用する可能性は低そうです。使用するのであれば、赤単色でのミッドレンジデッキなどが検討されますが、現環境に存在するそういったデッキは《獲物貫き、オボシュ》を相棒に据えたもののみです。

今後の環境の変化次第で採用の可能性を感じる1枚なので、しばらくはストレージで眠っておいてもらいましょう。

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耕作する巨躯

発売前からコンボが発見されており、注目を集めているファッティクリーチャー。シミックの成長室》をはじめとしたバウンスランドと組み合わせる事で、デッキ内のすべてのカードを引き切る事ができる上、《精力の護符》があれば、デッキ枚数の二倍のマナを生み出す事が出来ます。このETB能力は解決後再度誘発する訳ではなく、一度誘発後はセットランドできなくなるまで一度の能力として繰り返されます。そのため、当初記載されていた動きは不可能です。後半の文章についても修正しております。間違った情報をお伝えしてしまったこと、お詫びして訂正いたします。

伝説のクリーチャーでないため、《頑強》で釣り上げれば最速2ターン目には半無限大量のマナ・ドローを得られるコンボを決める事も可能です。最速を目指さずとも、アミュレットタイタンであれば自然とコンボパーツが揃っているため、一考の余地はあるでしょうか。

小村の先兵

5c人間に期待の1枚が登場しました。現状のリストで採用されている《輝かしい聖戦士、エーデリン》が比較対象となるでしょう。

輝かしい聖戦士、エーデリン》は常に変動するパワーを持っており、対戦相手に攻撃するたびに1/1のトークンを生成するため、継続したクロックの安定性及び面展開ができるのが魅力です。対して、《小村の先兵》は戦場に出るに際しサイズが決定され、護法によるある程度の除去耐性を備えていることが魅力でしょう。

5c人間は多くのクリーチャーを搭載しているその構造上、単体が持つ除去耐性の魅力は相対的に低く、全体除去をされた後に引いた場合なども考えれば、《輝かしい聖戦士、エーデリン》よりも優先されることは少ないでしょう。《邪悪な熱気》の蔓延により、5/5の状態ではタフネス4との差も無いに等しく、環境の変化次第で期待したい1枚です。

多色

苛まれし予言者、エルス

手札は増えなくなりますが、強烈なアドバンテージを稼いでくれるこのカード。全てのドローが衝動的ドローに代わってしまうため、打ち消しや除去を構えたいデッキでは採用できません。可能性がありそうなのは、青赤ストームでしょうか。

現在の同デッキは、《遵法長、バラル》《ゴブリンの電術師》のメダリオン生物を7~8採用しつつ、残りのスロットをキャントリップ呪文と少量の妨害要素で構成されています。コンボの成否=十分なストーム数の確保は、マナとカードをいかに稼いでいけるかにかかっていますが、その内の半分をこのカードによって埋められる点は魅力的です。

しかし、実際のゲームで問題となるのは主に前者=マナの枯渇であり、それ故に引き過ぎても困るにも関わらず、メダリオン生物が多く採用されています。それもそのはずで、《定業》《思案》《炎の儀式》《煮えたぎる歌》と、禁止カードリストには青赤ストームが必要としていたカードが名を連ねていますが、《炎の儀式》と《煮えたぎる歌》に関しては補填できるようなカードは一切増えていません。

3マナというコストも、このカードを唱えたターンには行動を開始できない重さであり、能力自体の魅力はあるものの使われない結果となりそうです。

アーティファクト

失われし者のランタン

魂標ランタン》と《大祖始の遺産》を足して割ったような墓地対策アーティファクト。出た時にまず1枚追放できるため、《死の飢えのタイタン、クロクサ》や《残虐の執政官》などを追放しつつ、次の一手にも備えることが可能です。

現在のモダン環境では、昂揚を持つ《ドラゴンの怒りの媒介者》《邪悪な熱気》や、探査を狙う《濁浪の執政》が活躍している上、《残虐の執政官》を《頑強》で釣り上げるエスパーリアニメイトもその地位を上げてきています。特に《ドラゴンの怒りの媒介者》と《邪悪な熱気》の影響力は凄まじく、それ故に現在の墓地対策では、《虚空の力線》や《安らかなる眠り》、《大祖始の遺産》のような継続的な墓地対策が主に使用されています。

こういった現状から、環境の変化がない限りは優先して採用されることは無さそうですが、それでも優秀な墓地対策であるのは間違いない為、いつでも使えるように確保はしておきたい1枚ですね。

総括

以上が、モダンにおいて可能性を感じたカードになります。前回が余りにも多かったため、今回は枚数を絞ろうとしましたが、そもそも少なかったというのもあります。ですが、そもそも下環境に影響を与えるカードというのは、ほんの僅かというのがこれまでの基本であったため、むしろこれでも多いくらいかもしれません。ここ最近はモダンの動きも忙しかったですが、一呼吸置けそうで何よりですね。

ラ…ラガバン…!?

取り上げたカード以外でも、気になる程度のカードは以下の8枚でしょうか。ゾンビの可能性を広げるカードや、《死の重み》の亜種等、少しばかり気になるカードたちです。

次回は、年明け後の2022年2月18日に発売となるネオカミカワ「神河:輝ける世界」です。

なんだか既視感があるのは気のせい

まさかの神河再訪!過去の神河発売時とは時代も変わり、今では再訪の希望が多かった次元だけに、とても楽しみですね。その先にも、2022年はドミナリア、新次元…更には兄弟戦争と、楽しみが尽きません。

先の話はまたの機会として、一先ずはあまり変化が無さそうなモダン環境の最適化が進んでいく姿を年内は楽しんでいきましょう。それでは、次回の「神河:輝ける世界」でまたお会いしましょう。

脚注一覧

  • 1
    ライフゲインを主軸に据えたデッキ。主に白単色で組まれる。

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