新時代のジャンド:ジャンドサーガ

赤緑のカード強過ぎない?

モダン環境の王者と言えば、どんなデッキを思い浮かべるでしょうか。

全然禁止されない緑トロン?今を時めくハンマータイム?一時代を築いたツイン?様々なご意見がおありでしょうが、群雄割拠、混沌極まるモダン環境においても、いつ如何なる時にも一定の勢力を保ち続けているデッキが存在しています。

それこそが「ジャンド」デッキです。

黒赤緑の3色から、その時代ごとに選りすぐりのカードたちで構成されたこのグッドスタッフ1グッドスタッフ(Good Stuff):単体で非常に優秀なカードで構築されたデッキの総称。カード単体を指す場合もある。デッキは、モダンホライゾン2(以下、MH2)以降の環境においても、新たな戦力を迎え入れ、メタゲームの上位に君臨し続けています。

デッキリスト及び概要

MZBlazer – ジャンドサーガ
[Magic Online]Modern Preliminary – #12337898(4-0)
– メインボード(60)-
– 土地(24)-
4《黒割れの崖
2《血の墓所
4《血染めのぬかるみ
1《
1《幽霊街
1《
1《草むした墓
1《踏み鳴らされる地
1《
4《ウルザの物語
2《新緑の地下墓地
2《樹木茂る山麓
– クリーチャー(12)-

4《ドラゴンの怒りの媒介者
4《敏捷なこそ泥、ラガバン
4《タルモゴイフ
– スペル(24)-
4《レンと六番
4《コジレックの審問
1《エムラクールの囁き
2《致命的な一押し
2《稲妻
4《邪悪な熱気
4《ミシュラのガラクタ
1《虚無の呪文爆弾
1《真髄の針
1《黄鉄の呪文爆弾
– サイドボード(14)-
1《虚無の呪文爆弾
2《高山の月
1《古えの遺恨
1《仕組まれた爆薬
1《探検の地図
3《巻き添え
2《思考囲い
2《倦怠の宝珠
1《虚空の鏡
– 相棒(1)-
1《夢の巣のルールス

MH2からの新戦力を多数取り入れ、その姿を大きく変化させた新たなジャンド。ジャンドサーガと呼ばれるこのデッキは、その名の通り《ウルザの物語》までも取り込んだ、意欲的なミッドレンジデッキです。

MH2では、赤くて軽い強力なカードが多数収録された為、《血編み髪のエルフ》と《ヴェールのリリアナ》の採用をオミットした上、《夢の巣のルールス》を相棒に加えた形に生まれ変わりました。一見、墓地依存度が高過ぎるように見受けられますが、果たしてその実態はどうなのでしょうか。

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メインボードのカードについて

《ドラゴンの怒りの媒介者》

MH2の赤いカードの1枚。赤いデルバーなどとも呼ばれていますが、このカードはそんなに可愛らしいものではありません。マナカーブを非常に低く抑えた構成の為、毎ターン複数回の諜報が誘発し、あっという間に昂揚は達成されます。

諜報は、引きたくないカードを墓地に落とすドローの調整だけでなく、自身の昂揚達成、《タルモゴイフ》のサイズ向上と、ゲームを序盤から終盤までサポートする非常に強力な能力です。自己完結の為に諜報が搭載されたのでしょうが、占術に比べて強すぎるこの能力を、このデッキでは余すことなく活用できています。

《タルモゴイフ》

致命的な一押し》のモダン加入以降、その地位を脅かされていた《タルモゴイフ》ですが、MH2のリリース以降は、再び最強のクリーチャーと呼ぶに相応しい存在へと舞い戻りました。これは、現在使用されている除去呪文の中心が、《致命的な一押し》から、《稲妻》と《邪悪な熱気》に移った為に起こった現象です。

これまで、《タルモゴイフ》の基本サイズ2タルモゴイフ》の基本サイズ:クリーチャー、ソーサリー、インスタント、土地の計4種:4/5を基本サイズと言われている。は4/5と言われており、《邪悪な熱気》に耐えられないように思われますが、このデッキでは《レンと六番》と《ミシュラのガラクタ》、《ウルザの物語》により、最大7/8にまで成長します。

ミシュラのガラクタ》《ウルザの物語》については自然と墓地に落ちる為、除去を《邪悪な熱気》に頼ったデッキにとって、このデッキの《タルモゴイフ》は脅威と言う他なく、その圧倒的なサイズによって瞬く間にゲームを終わらせてくれます。

《レンと六番》

モダンホライゾンにて収録された、強力無比なプレインズウォーカー(以下、PW)。赤緑を含む多くのデッキで、採用しない理由を探す方が難しい程強力なこのPWですが、このデッキでは《ウルザの物語》の再利用という凶悪極まりない仕事をこなします。

フェッチランドを回収する事で、土地を安定的に供給してくれます。これと、先の《ドラゴンの怒りの媒介者》の諜報を組み合わせる事で、土地はほぼ全て不要牌として墓地に送ってやれば、後はひたすら呪文をドローできる理想的なゲーム展開の完成です。

《コジレックの審問》《思考囲い》

※今回のリストでは《思考囲い》は、メインボードには採用されていません。

現環境では、ハンデスは以前に比べて弱いカードになったと言われています。その理由は単純で、カードプールの増加に伴い、強力なカードが増え、1枚手札を抜いたところでゲームに大きな影響を与えられなくなった為です。

しかし、そんなハンデスを有効に活用できている数少ないデッキの一つが、このジャンドサーガです。《ドラゴンの怒りの媒介者》《タルモゴイフ》という高速でゲームを終わらせられるクロックを内包しつつ、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の宝物トークンによるマナ加速も相まって、1ターンの間に複数回の行動が可能です。ただハンデスをするだけでなく、多くの状況でプラスαの行動を取る事が可能なのです。

また、マナカーブを低く抑えている弊害として、《突然の衰微》や《大渦の脈動》が抜け落ちており、このデッキでは対処に困るカードが一定数存在しています。そのようなカードは、大抵が3ターン目以降に展開されるものである為、ゲームを決め切るまでの妨害としては十分な活用が見込めます。

ドラゴンの怒りの媒介者》の諜報により、不要な時は墓地へ送ってしまえるのもハンデスの使用に一役買っているのは言うまでもありません。

《エムラクールの囁き》

近頃採用が見受けられ始めた1枚です。通常時は1枚を無作為にハンデスさせる呪文ですが、昂揚達成後はレガシー級呪文である《トーラックへの賛歌》へと変貌します。

元より昂揚の達成を目指すデッキである為、《トーラックへの賛歌》として唱えられる場面も多く、もし土地が2枚抜け落ちた場合には即ゲームセットともなりかねません。複数枚の採用はマナコストの問題が付きまといますが、上手く行けばゲームを決定付ける呪文である為、非常に魅力的な1枚です。

《邪悪な熱気》

現環境を定義している除去呪文。既述の通り、墓地を積極的に肥やすこのデッキで採用しない理由は無いでしょう。

突然の衰微》や《大渦の脈動》の採用を見送っても、十分に戦えるデッキとしてくれている最大の理由となる1枚です。

《ウルザの物語》

邪悪な熱気》と並んで、現環境を定義しているカードの一つである《ウルザの物語》が、ついにジャンドにまで採用されました。

このデッキの極端な墓地活用を許容させているのが、この《ウルザの物語》に他なりません。墓地を活用したコンボでないデッキでは、別角度からの攻めの手段を用意するのが一般的であり、ジャンドサーガでは《ウルザの物語》がその役を担っています。

構築物トークンが3/3以上のサイズを期待できるのは、皆さんご存じの事でしょう。そのトークンが最大2体生成される上、最終章では《真髄の針》や《黄鉄の呪文爆弾》、《虚無の呪文爆弾》のような、様々な状況に対処できるカードを探し出せます。

《真髄の針》

ウルザの物語》のサーチ対象の1枚。このデッキでこのカードが強力なのは、手札に来てしまった場合にも、ハンデス呪文と組み合わせて有効に活用ができる点です。

モダンでは多くのデッキがフェッチランドを採用しており、状況次第では《真髄の針》1枚でゲームが決まってしまう事も少なからずあります。また、既述の通り、《突然の衰微》《大渦の脈動》等がオミットされたこのデッキでは、対処に困る事も多い《解放された者、カーン》等へも有効な1枚であり、デッキを支える非常に重要な1枚です。

そもそも《真髄の針》と言えば、一部例外を除けばサイドボードが定位置であったはずですが、それをメインボードから無理なく採用できるようにした《ウルザの物語》がいかに狂った優れたカードであるのか、改めて感じさせられます。

《黄鉄の呪文爆弾》

2点ダメージかキャントリップかを選べる、呪文爆弾サイクルの一つ。デッキカラーの都合上、当然除去は黒と赤が担う事になる訳ですが、ここで問題となるのが《ヴェクの聖別者》です。

天界の粛清》にも見受けられたように、WotCは白い呪文であれば、黒と赤に対しては何をしても良いと思っている節があります。そんな余談はさておき、《黄鉄の呪文爆弾》は、《ヴェクの聖別者》を処理できる数少ないカードです。

相棒の《夢の巣のルールス》による再利用も可能な為、繰り返し使える除去呪文或いはダメージソースとも言え、《ウルザの物語》から探せる事も加わって、《真髄の針》と並んでこのデッキを支えている重要なカードの一つです。

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サイドボードのカードについて

《夢の巣のルールス》

今回のジャンドサーガへの変化に伴い、採用が可能となった相棒《夢の巣のルールス》。《血編み髪のエルフ》の担っていたアドバンテージ確保を、相棒ルールにより任意のタイミングで行えるようになりました。3マナしかない状況でも、《ミシュラのガラクタ》を拾う事で最低でも1:2交換を強いる強力なカードです。

現環境は、全体的にマナカーブが低く抑えられたデッキで固められています。軽いクリーチャー、軽いPW、軽い除去と、お互いが手札のリソースを使い切るまでにかかる時間が短くなっています。その結果として、《夢の巣のルールス》を手札に加える3マナを支払えるターンが必ず訪れます。

夢の巣のルールス》から再利用できるカードも、以前に比べて強力になった為、3マナを超える強力なカードを採用するよりも、確実にプレイできる《夢の巣のルールス》を採用する方が、より効率的で現実的なデッキ構築となっているのです。

《巻き添え》

このデッキで対処に困るカードの筆頭である《濁浪の執政》を簡単に処理できるカード。こういったカードの採用を思いつく人は、本当に賢いですよね。

環境には《引き裂かれし永劫、エムラクール》を扱う《不屈の独創力》デッキも存在しており、時代に求められる優秀なサイドボード要員です。

《虚空の鏡》

カスケードクラッシュ、《死せる生》デッキに劇的に刺さるメタカードです。トロン系統にもある程度の効果が見込めますし、5cエレメンタル等に採用されるインカーネーション・サイクルの想起キャストにも効果があります。

範囲はそこまで広くありませんが、クリティカルな場面が一定数存在する為、このデッキに限らず、現環境では1枚は欲しいサイドカードの1枚ですね。

総括

今回は、《ウルザの物語》を迎え入れた、ジャンドの新たな形であるジャンドサーガを紹介してきました。

これまでのジャンドが持っていた、様々なデッキを受け止められる懐の深さをある程度継承した上で、今まで以上に高速なゲーム展開や、《ウルザの物語》による多角的な攻め方を備えた、とても面白いデッキです。

最後に併せてお伝えしておきたい事として、このデッキはあくまで赤緑のパッケージを根幹としており、黒の要素は他の選択肢も考えられる点です。ハンデスを有効に扱える点、《夢の巣のルールス》を相棒に加えられる点から、ジャンドサーガでは黒が選ばれていますが、今後別の色を加えたデッキが出てくる可能性も大いにあるでしょう。

MH2の加入によって、モダンは大きくその姿を変え続けています。今後も、ジャンドサーガのような新たなデッキの登場が楽しみでなりません。


脚注一覧

  • 1
    グッドスタッフ(Good Stuff):単体で非常に優秀なカードで構築されたデッキの総称。カード単体を指す場合もある。
  • 2
    タルモゴイフ》の基本サイズ:クリーチャー、ソーサリー、インスタント、土地の計4種:4/5を基本サイズと言われている。

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