モダンの今と、除去の選択

優秀な各色の除去呪文たち

モダン環境は除去に溢れている。

より下の環境であるレガシーやヴィンテージと比較した際に、モダンの特徴としてよく言われるものの一つです。モダンは、クリーチャーを中心としたゲーム展開を進めるデッキが多くを占めており、それ故に各デッキが採用する除去呪文の数も、比例して多くなっています。

今回は、現在のモダン環境でよく使用されている除去呪文及び、使用されているパーマネント(ここでは、クリーチャーとプレインズウォーカーを主に指します)に注目し、現在のモダン環境に触れていきたいと思います。

除去呪文の選択基準

デッキに組み込む除去呪文を決める際、何を基準に決めるべきでしょうか?

  • 支払うマナに対する効率?
  • インスタントである事?
  • 除去出来るパーマネントの範囲?

どれも、除去呪文を選ぶのに十分な理由でしょう。特に、マナコストに対する効果の大きさは、テンポが重要なモダンでは、選択理由に占める割合も大部分を占めるでしょう。

下位互換を使う理由は、まず見当たらない

広大なカードプールを持つモダンでは、使用されている多くの呪文に下位互換が存在しています。ほぼ同じ仕事をこなせる呪文であれば、より多くの仕事をこなせるものが選ばれるのは必然です。これは、除去呪文においても当然当てはまる事であり、上位互換が存在している呪文の使用は避けたいところです。

インスタントである事も、選択の大きな理由でしょう。除去という仕事柄、常に後手に回る行動になります。相手が展開した脅威を、相手ターン中に処理出来るのであれば、それに越した事はありません。

Advertisement

何を除去しなければならないのか?

除去呪文の選択において、先の2点はもちろん大事ですが、それ以上に「除去すべき対象」の理解が重要です。環境で暴れるクリーチャーやプレイウンズウォーカー等を除去出来ないのであれば、いくら効率的で、インスタントタイミングで動ける利便性を備えていようと、意味を成しません。脅威が展開されてから除去する後手の動きと同様に、除去呪文の選択もまた、後手に回っての行動となるのです。

モダンで活躍している方々

現在のモダン環境も、これまで同様に多種多様なデッキが存在していますが、それらの中でもよく使用されているデッキ・カードは存在します。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を組み込んだテンポデッキ、各種想起エレメンタルを《儚い存在》で使いまわす5cエレメンタル、《時を解す者、テフェリー》を組み込んだコントロール等が代表的なものでしょう。

除去呪文を選択する際には、これら存在しているデッキが使用している各カードを把握し、それらへの回答として利用出来るものを優先的に選んでいく必要があります。

《邪悪な熱気》が変えるモダン環境

モダンにとって、最も大きな影響をもたらすセットである「モダンホライゾン」シリーズ。その第二段であるモダンホライゾン2(以下、MH2)に収録された、《邪悪な熱気》がモダンに与えた影響は、これまでのどんな除去呪文よりも大きなものであったと言えます。

除去耐性の基準をクリアしていた方々

MH2リリース以前までのモダンを代表する除去呪文としては、《稲妻》《流刑への道》《致命的な一押し》《突然の衰微》が挙げられます。

クリーチャーなら問答無用で除去出来る《流刑への道》は、ここでは無視するとして、これら除去呪文から導かれていた除去耐性は以下の2種です。

  • タフネス・忠誠値(即プラス起動後を含む)が4以上であるか
  • マナ総量が4以上、或いは5以上であるか

1つ目は単純で、《稲妻》の3点に耐えられるかです。上に画像で挙げた各カードは、《タルモゴイフ》のみ特定の状況を除けば、全てクリアしています。

2つ目のマナ総量は、《突然の衰微》及び《致命的な一押し》の「紛争」達成時の対象外となるかです。《致命的な一押し》については、基本的にいつでも「紛争」を達成されるものとして考えるべきです。その為に、フェッチランドや《ミシュラのガラクタ》等を多く採用する構築が基本ですからね。

これらを除去耐性の基準として、これまでのモダン環境は動いてきましたが、《邪悪な熱気》が加わった結果、これらの基準は大きく更新される事となりました。

《英雄の破滅》が飛び交う現状

ほぼ同じ能力…?

それでは、《邪悪な熱気》とは、どんな除去呪文なのでしょうか。「昂揚」達成前は、プレイヤーに飛ばない劣化《ショック》ですが、「昂揚」を達成すれば、一気に3倍の6点ダメージを与える非常に強力な除去呪文となります。この6点という数字が、これまでのモダンの常識を大きく変えてしまう事となりました。

あの甲鱗様ですら一撃

低マナ域での優秀なカードで溢れるモダンですが、それらの殆どがこの6点ダメージを耐えられません。《タルモゴイフ》の基本サイズ1タルモゴイフ》の基本サイズ:クリーチャー、ソーサリー、インスタント、土地の4種による4/5が基本のサイズと言われている。と言われる4/5ですら耐えられないのですから、当然と言えば当然です。

また、プレインズウォーカーに注目しても、モダンで活躍していた《精神を刻む者、ジェイス》《ヴェールのリリアナ》《レンと六番》《ドミナリアの英雄、テフェリー》等、ほぼ全てが初動でプラス起動をしても、6点には耐えられません。

これらを総合すると、《邪悪な熱気》はほぼ全てのクリーチャーとプレインズウォーカーを、たった1マナで破壊出来る呪文と捉える事が出来、それはおおよそ1マナになった《英雄の破滅》と言えます。この状況で、《精神を刻む者、ジェイス》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》を積極的に使いたいというプレイヤーは、そう多くは無いでしょう。

適切なカード選択を行おう

邪悪な熱気》に支配されている現在のモダン環境ですが、だからと言ってこの呪文に耐えられないカードを使わない訳ではありません。当たり前の事ですが、皆が皆赤いデッキを握る訳でもありませんし、常に《邪悪な熱気》が飛んでくる訳でもありません。それに、そもそも《稲妻》等で処理される範囲だったのなら、以前と変わりは無いのですから。

かと言って完全に無視する訳にもいきませんので、可能な範囲でより適切な、《邪悪な熱気》に対抗出来るカードの選択は行っていきたいところです。

濁浪の執政》は、4枚以上のインスタント・ソーサリーを「探査」すれば、タフネスが7以上になります。軽く強力なフィニッシャーである上、《虹色の終焉》や《致命的な一押し》にも耐えられる、正に今の環境に愛されたクリーチャーと言えるでしょう。

濁浪の執政》は出来過ぎた例ですが、《邪悪な熱気》に耐えられずとも、そもそも除去されても良いものを選択するのも手です。《石鍛冶の神秘家》に代表される、ETB能力持ちのクリーチャーは、戦場に出た段階で仕事の半分は終了しています。除去呪文は1:1交換を行うものが基本であり、且つそれが大多数である為、こういった除去されても損をしない選択肢を多く持てば、《邪悪な熱気》に限らず除去全般に対して有利に立ち回れます。

引き裂かれし永劫、エムラクール》のような、ほぼ全ての除去呪文を跳ね除けるものを主軸に、戦略を組み立てるのも有効でしょう。俗に軸をずらす等と言われますが、相手の取ろうとする常識的な行動を無視出来る戦略であれば、デッキ選択の段階から優位に立つ事が可能です。

更に適切な選択で、ゲームを有利に

これまでの内容を踏まえた上で、現在のモダンに溢れるデッキたちを細かく見ていけば、それぞれのデッキに採用されているカードの意味も見えてくるでしょう。《邪悪な熱気》が環境の中心にある事は事実ですが、それを見据えた上で選択されたカードたちにはそれぞれに意味があります。

そういやこんなのあったね

緑を含むデッキのサイドボードで見かける《巻き添え》は、実に環境を捉えた1枚でしょう。通常の価値観では、まずモダンで使用すべきカードとは思えないこの1枚ですが、今のモダンでは非常に優秀な選択肢です。

先に挙げた、《濁浪の執政》《引き裂かれし永劫、エムラクール》のどちらに対してもクリティカルな除去が、たったの1マナです。緑が飛行クリーチャーを処理出来るのは、今に始まった事ではありませんが、それにしてもここまで輝く日が来るとは思っていないカードでした。

その他の選択肢としては、

等々、パッと思いつくものだけでも様々なカードが挙がってきます。環境を捉えた適切な除去呪文を選択して、ゲームを有利に進めていきましょう。そして、メタが動き始めたなら、クリーチャーやプレインズウォーカーを見つめ直して、その後また除去の選択を…。

以上、今回は除去呪文を中心としたモダンの現状及び、その選択に関するお話でした。無数の選択肢で溢れた除去呪文ですが、その強さは常に変わり続けています。デッキ構築を行う際には、環境を見つめ直して、本当に適切な除去呪文が選べているか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。


脚注一覧

  • 1
    タルモゴイフ》の基本サイズ:クリーチャー、ソーサリー、インスタント、土地の4種による4/5が基本のサイズと言われている。

特集記事カテゴリの最新記事