MH2のインカーネーションたち

MH2のインカーネーションたち

2021年6月にモダンに追加された超強力セット、モダンホライゾン2。
魅力的なカードが数多く収録される中、各色でのサイクルとして追加されたインカーネーションたちは、特に注目されているカード群です。

インカーネーション・・・、アレ?違う?

サイクル全体の特徴

以下の3点は、サイクル共通の特徴です。

  • 同色のカードを1枚追放する事で、マナコストを支払わずに想起1想起:ローウィン・ブロックで登場した、エレメンタル固有の能力語。戦場に出てすぐに生け贄に捧げなければいけない代わりに、代替コストとして想起コストを支払うことでも唱えられる。で唱えられる。(ピッチスペル)
  • 戦場に出た際に誘発する能力(以下、ETB能力2ETB:「Enter The Battlefield、戦場に出る」の頭文字。過去には、CIP(Comes Into Play)と呼ばれていた。)を有している。
  • 生贄に捧げられる前にブリンク3ブリンク:パーマネントを追放した後、再びそれを戦場に戻すという効果を示す俗称。《一瞬の瞬き》の英語名《Momentary Blink》が語源。する事で、生贄を回避しつつ能力を再利用出来る。《儚い存在》との組み合わせは特に強力。

想起コストによるピッチスペルとしての動きは、マナを支払わずに行える為、奇襲的な扱い方の他、マナスクリュー4マナスクリュー:土地事故の一種で、土地を十分な枚数引けない事。対義語にマナフラッドがある。 時にも活躍します。各種ETB能力は、レガシー級のスペルを再現したものや、強力なメタ的要素を含んだ強力なものであるだけでなく、あくまでクリーチャー呪文の一部なので、《否認》《否定の力》等で打ち消されないメリットもあります。(《本質の散乱》のようなクリーチャー限定打ち消しは、そもそもモダンでの採用数が無いに等しい。)

白:孤独/Solitude

白の《孤独》は《剣を鍬に》を内蔵している。レガシーにおいて《剣を鍬に》は、最高峰の除去スペルの1つであり、相手のライフの増加を気にしないコントロール系では特に重宝されています。《孤独》もまたそれに漏れず、除去の性能としては超強力。《流刑への道》のように相手にカードアドバンテージを与える事も無ければ、《致命的な一押し》《稲妻》等のように条件次第では除去出来ないといった事もありません。

絆魂もライフを安全圏に運ぶ助けとなり、守りに長けたスペックと言えます。

問題点としては、マナを支払って唱える場合のその重さ。スタッツ5スタッツ:クリーチャーの「パワー/タフネス」を示す言葉。サイズとも言われる。も、《火 // 氷(Fire // Ice)》《砕骨の巨人》等2点火力でも落ちる脆さから優秀とは言えず、絆魂を活かし切れるかは怪しいところ。運が悪い事に、環境に存在するカスケードクラッシュがこれらを利用してるんですよね。素出しを狙う場合には瞬速を活かして、極力隙を潰しながら活用していきたい。

青:緻密/Subtlety

青の《緻密》は限定的な疑似打ち消し。モダンには、序盤から現れる強力なクリーチャーとプレインズウォーカーが多数存在する為、その対象に困る事は少ないでしょう。モダンで青のピッチスペルと言えば《否定の力》が大活躍中であり、《否定の力》では処理出来ないクリーチャーへの回答として補完する関係にあると同時に、それぞれがピッチコストに充てられます。また、正確には打ち消しではなくバウンスである為、《魂の洞窟》を扱うデッキに対しても有効である点も評価出来ます。

4マナは素出しの出来る現実的なコストですし、瞬速持ちの3/3飛行は十分に戦力となるのも魅力的です。

黒:悲嘆/Grief

黒の《悲嘆》は《暴露(Unmask)》に近いハンデス。地味ながら対象が対戦相手限定となっている為、《神聖の力線》等があろうとも、最低限クロックとしては機能出来ます。既に「死せる生」デッキで利用実績がある通り、前方確認をしつつ墓地に《悲嘆》を未来のクロックとして残せる動きは非常に強力です。これと同様に、マナを支払わずに行える前方確認は、コンボデッキでも活躍する可能性が大いにあります。

冒頭でも紹介したブリンクとの組み合わせについても、既にオルゾフ石鍛冶デッキで活用されています。1ターン目に《儚い存在》と組み合わせる事で、3枚のハンデスを行いつつ盤面に3/2威迫のクロックを残せるとんでもないアクションです。計3枚のカードが必要となる動きではありますが、内1枚は黒ければ何でも良い為、十分に実用圏内なコンボと言えます。

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赤:激情/Fury

赤の《激情》は、プレイヤーを対象に取れない《発火》。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を有するイゼットテンポや、小粒なクリーチャーを多く用いるハンマータイムをはじめ、環境には序盤から脅威となるクリーチャーが溢れています。これらを2体以上処理出来れば、想起コストで唱えたとしてもカードアドバンテージ面で損をせず、それどころかテンポ面で優位に立てる為、非常に優秀な能力と言えます。

ただしプレインズウォーカーに対しては、《レンと六番》を処理出来るのは嬉しいものの、《時を解す者、テフェリー》《精神を刻む者、ジェイス》《ドミナリアの英雄、テフェリー》等、プラス始動をされたら処理し切れないものも目立ちます。これについては、幸い同じ赤には1マナの《英雄の破滅》こと《邪悪な熱気》が収録されている為、上手く使い分けていきたいところ。

素出しの際には5マナとそこそこ重いものの、盤面を掃除しながらの3/3二段攻撃は十分にゲームを決められるスタッツを持っており、環境に除去能力が適合する場合には非常に強力な1枚となるでしょう。(執筆時点では)価格も比較的に安く、過小評価されているのかな?という印象を受けます。

緑:忍耐/Endurance

緑の《忍耐》は墓地対策。墓地対策に求められるスペックとしては、効果を発揮するまでの軽さ・速さが重要ですが、《忍耐》は想起コストによってそれを十分に備えています。また、これは《引き裂かれし永劫、エムラクール》等のようなライブラリー修復効果でもある為、ライブラリーアウト6ライブラリーアウト:相手のデッキを削る事により、MTGの敗北条件の1つである「カードが無いライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーは、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時にゲームに負ける。』を目指すデッキの事。への対策としても扱える点が素晴らしい。モダンには墓地を活用するデッキが多く、ライブラリーアウトも一定数存在する為、少なくともサイドボードに1枚以上の採用は今後頻繁に見かける事となりそうです。

スタッツも十分なものを備えており、3/4到達は環境で猛威を振るう《ドラゴンの怒りの媒介者》や《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》をしっかりキャッチ出来ます。

総括

各色全て、十分に強力な能力を備えており魅力的なサイクルです。メインボードに4枚採用が見込める《悲嘆》を除いては、どれもが環境に左右される能力と言え、2色以上のデッキの場合にはどのインカーネーションを採用するべきか柔軟に判断する必要があります。

素出し、クリーチャーとしての性能まで含めた純粋な強力さで言えば、《緻密》《悲嘆》《忍耐》の3枚が優秀です。《緻密》《悲嘆》は回避能力持ちの為、クロックとしても機能しやすく、《忍耐》はブロッカーとしても活躍出来ます。これらに対して《孤独》は5マナと非常に重く、活用出来そうな青白コントロール等では、そもそものクリーチャー数が少ない為に相手に除去が余りがちで、絆魂を活かしにくい。また、白いカードの枚数によっては想起コストの確保にも不安が残りますし、そもそも白には軽く優秀なピン除去が既に十分な数用意されています。《激情》については、《孤独》同様コストの重さは懸念されますが、複数体のクリーチャー・プレインズウォーカーを処理出来る可能性もあり、環境次第では輝く1枚となり得そうです。

環境には、これらインカーネーションを最大限活用しようとする「エレメンタル」デッキも既に存在しており、能力の高さの確認が進んでいます。定番のデッキ・カードとして定着していくのか、今後が楽しみなサイクルです。


脚注一覧

  • 1
    想起:ローウィン・ブロックで登場した、エレメンタル固有の能力語。戦場に出てすぐに生け贄に捧げなければいけない代わりに、代替コストとして想起コストを支払うことでも唱えられる。
  • 2
    ETB:「Enter The Battlefield、戦場に出る」の頭文字。過去には、CIP(Comes Into Play)と呼ばれていた。
  • 3
    ブリンク:パーマネントを追放した後、再びそれを戦場に戻すという効果を示す俗称。《一瞬の瞬き》の英語名《Momentary Blink》が語源。
  • 4
    マナスクリュー:土地事故の一種で、土地を十分な枚数引けない事。対義語にマナフラッドがある。
  • 5
    スタッツ:クリーチャーの「パワー/タフネス」を示す言葉。サイズとも言われる。
  • 6
    ライブラリーアウト:相手のデッキを削る事により、MTGの敗北条件の1つである「カードが無いライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーは、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時にゲームに負ける。』を目指すデッキの事。

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